モッモ太郎 -堕天録- ③
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ーーー刹那、ドラゲナイは嫗の喉元に喰らいつく。
ドラゲナイの牙から滅神凱毒ヴルベ=ヴルベがおばあさんの体内に注入される。
おばあさんは絶暴の叫び聲を上げた。
ヴルベ=ヴルベの毒は主の脳神経を蝕み、精神を13次元へ転移する。
〜〜〜
気付けばおばあさんは、色彩が幾重にも折り重なった破天の地に立っていた。
此処が13次元……。
おばあさんの口元がギィィと引き攣る。
「早く……早くドラゲナイの元に戻らねば。
第三終末を迎える前に、早く……ッ!!!」
おばあさんがドラゲナイ、いや奴が持ち去りしホーリー・ジャベリンに固執するには理由があった。
ーーー来たる世界の第三終末。
乾坤が混ざり、獄紋が拓かれし時、此の世は終を告げられる。
ホーリー・ジャベリンは、その避けられない運命を捻じ曲げる力がある。
死を迎える度、夢幻に恢復する。
第二の此の世界を壊さないため。運命を変えるため。
おばあさんはホーリー・ジャベリンに執着した。
〜〜〜
13次元の破天の地を彷徨っていると、其処に、見覚えのある影が。
ーーーおじいさんだ。
おじいさんはモッモが脳天に突き刺さる永劫の時を過ごした。
時、凡そ50劫波(kalpa)。宇宙が50度滅消する期間に等しい。
永劫の時をモッモと過ごした翁、其の身体はモッモと一体化していた。
そう、此れが伝説に語り継がれし號魔卿-モッモ太郎-の、壮絶なる誕生秘話である。
(未来永劫続く)
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